NOVO – Jean-Pierree LIMOSIN

99年の『TOKYO EYES』以来の日本公開作品となる『NOVO/ノボ』を携えて、ジャン・ピエール=リモザン監督が来日した。本作『NOVO/ノボ』では、97年の 『オープン・ユア・アイズ』でも有名なスペインを代表するトップスター、エドゥアルド・ノリエガを記憶を失った主演男優として起用。その相手役の女優には 今年、シャネルの広告ヴィジュアル戦略の”ミューズ”でもあるフランス映画界期待の新進アナ・ムグラリスを起用した。

キャスティングについては「主役を一人選ぶとあとが自然と決まってきます。今回は男優から決めました。自分のイメージしていた女性らしくダンサーのような しなやかさを備えつつ筋骨隆々とした感じの男性俳優はフランス人では見つからず、地球上のフランス人男性を全て考慮に入れても見つからなかったほどです! 映画の製作を中断しようとすら思ったほどで(笑)。エドゥアルド・ノリエガという外国人を起用したことは、彼が母国語以外の言葉で取り組むもどかしさ、自 由がないところが重なり、記憶障害という病気の役に信憑性が高まり、良い結果を生むことができました」

監督がアナ・ムグラリスと出会ったときは、彼女はパリ国立アート学院の3年生で学費のためにモデルをしていたそう。「シャルドドの映画でアナの声が耳に飛 び込んできたのです。彼女はスタイルもよく造形的な美しさを持っていますが、少ししわがれたざらっとした感じの声に興味を持ちました」と、監督の音に対す る敏感さが伺える。

記憶をテーマに扱う映画が増えてきている中、本作もキーワードは「記憶喪失」。これについて監督は「記憶喪失はテーマとしてではなく、欲望と恋愛、愛情を 分けて表現したかったのです。主人公は男らしさに傷を負い、弱く欲望を抑えた状態です。常に欲望が更新される必要があるのですが、そのために記憶喪失が有 効だと考えたのです。昔知ったケースで記憶を失った映画ファンの男性が治療施設で毎朝映画を観るのですが、覚えていられないために2~3分経つとまた巻き 戻して観るのです。それを毎朝繰り返し2,3ヶ月やっていたそうです。その事実にまず私は驚きました。それはブラッセルにある治療センターでした。患者は 身近な人とゲーム形式で治療を行っていたのですが、今回そのゲーム形式を取り入れました。こうして少しずつアイデアを蓄積していましたが、資金の問題もあ りしばらく温めていたのです」

フランス人監督の持つ素朴な温かい雰囲気にはいつも心和まされてしまうのだが、リモザン監督も誠実な姿勢に好感度大。一つ一つの質問に対しての丁寧さには脱帽させられた。監督の表現したかったことをふまえて映画を観て、味わい深く楽しみたい作品だ。

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